ボディに、革新の風を。前例のない、未来をつくる。スバル自動車部門 先行開発 綾部 俊宏 車体設計部(2001年入社・中途)

スバルの車が好きで転職してきました。

入社してかれこれ14年になります。以前は、別の自動車メーカーに勤めていました。当時の愛車はレガシィツーリングワゴン。そう、自分の勤務先の自動車がどうとか関係ないくらい、この車に魅了されてしまったんです。ワゴンなのに抜群の走破性と安定性。水平対向エンジンのドロドロとした独特の排気音。ビルシュタインの足で俊敏な足回り。乗っていて楽しい車だった。好きな釣りやスキーに行く時も一緒。車の中に寝泊まりもした。相棒そのものだった。とにかくスバルの車に惚れ込んでしまった。これが私の入社のきっかけです。現在では車体設計部でボディの先行技術開発に取り組んでいます。5~10年先の車のありたい姿を描き、その達成手段を開発する仕事。現在、自動車業界共通の最重要テーマがあります。軽量化です。車というものは、モデルチェンジをするたびに重くなっていくという歴史がある。インプレッサもレガシィも例外ではありません。車の重量が重くなると、燃費が悪化し、将来さらに厳しくなるであろう燃費規制への対応も難しくなります。また、車量が重くなると運動性能にも影響します。運動性能の良さはスバルの売りの一つでもあります。とにかく、軽量化は外せない重点課題。

未来を拓くために、やらねばならないことがある。

世の中のトレンドを見ても、新素材の導入は必然。約2年前、そう強く感じたのです。仮に5年後に導入するなら、今動かなければ間に合わない。車づくりにおいて、5年という期間はとても短い。素材を検討して、開発して、設備投資をしてとなると、急ピッチで進めないと間に合わない。しかし生産現場の状況はどうか。供給不足が続く中、2交代制でフル稼働。普通につくることも大変な状況のなかで、新素材を投入することの難しさ。しかも、検討している新素材は、私たちにとって鉄よりも扱いが難しい素材。設備や工程自体も変えなきゃいけない。どう考えても苦しい。しかしながら、マーケットの未来を考えた時、今始めないと置いてけぼりになるという大きなリスクもある。それは他の軽量化アイテムも同じ。どうしたものか。腹は決まっていました。何が何でも推進する。まずは、製造部門へ走りました。次に他の関係部署へ。ボディは他の部品が全部取り付く「母屋」であり、密接に関連する部品が多い。よって関連部署がたくさんあるのです。いろんな人と話をしました。今までの延長のボディ開発に正直手詰まり感を感じていること。これをやらないと先に進めない実感があること。すると、思いがけない声が返ってきた。みんなでやろうと。メンバーたちも頑張ってくれて、思いのほか話が前に進みはじめたのです。業績好調という追い風もあった。富士重工業の社風で、投資がかかる技術に関しては「お前自身はやりきったのかと?」という雰囲気があるんです。でも、やらないと欧州に勝てない。そう訴え続けました。それからです。一気に加速したのは。年末の社内イベントで、役員向けに軽量化などボディに関わる状況をプレゼンテーション。無事、納得して頂くことが出来ました。新しい未来が拓ける喜びと重いプレッシャー。僕の心の中には、背中あわせの感情が生まれました。

欧州プレミアムと戦う。勝てるボディをつくる。

悔しい現実なのですが、ボディの新技術の活用という点で日本は欧州に大きく遅れをとっています。毎年ドイツで開催されるEuro Car Bodyという自動車のボディの開発・製造領域のコンテストがあるのですが、上位を独占するほとんどが欧州車。中でも際立っているのは、ドイツメーカーです。実はドイツは技術開発のやり方が日本と違う基礎的な技術開発は国家レベルのプロジェクトとして、各メーカーと大学が国を挙げて一気に手がけ、成果をシェアしあっている。そんなドイツ車にスバル単体で勝てるのか。私は、将来的にオールジャパン体制として、日本の技術力を結集して挑み、成果を共有するような取り組みが加速してほしいと思っています。もちろん、スバル独自の強みを育てることも重要です。現在のスバルのボディの強みは、衝突安全。開発力・技術力は世界トップクラスにあると自負しています。EyeSightが有名ですが、ボディ開発においても同様に数十年前から力を入れているのです。ノウハウの蓄積はある。未来の法規動向も睨みながら、重点課題の「軽量化」も図りながらも、独自の強みも育てていきたい。欧州プレミアムに、ボディの性能で勝ちたい。「あいつらすごいボディつくってるな」と言わせたい。スバルの車が好きで、惚れ込んで、ここにいる人間です。あの時、自分が感じた感動をつくりたい。何としてでも。僕はいま、とてもワクワクしています。

8時の始業後、メンバー約20名でチームミーティング。その後、書類と資料を点検。打ち合わせや技術会議は一日2~3回実施。一日2時間ほどは、メンバーからの技術的な相談に充てている。すべての業務が終わった後にまとめて、会議で出た宿題や報告資料の作成を行っている。

PROFILE 綾部 俊宏 AYABE TOSHIHIRO

スバル自動車部門 車体設計部

2001年入社。工学部機械工学科卒。ポリシーは三現主義に原理原則を加えた5ゲン主義。「モノは嘘をつかない」と、5ゲンで仮説・検証を繰り返すことを大事にしている。メンバーから技術的な相談を受ける時間がいちばん楽しい時間。

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