飛行機をつくる、プロセスをつくる。創意工夫の毎日がある。 航空宇宙カンパニー 生産技術 金子 貴幸 生産技術部 組立生産技術科 (2011年入社)

自信たっぷりのプレゼンテーションに衝撃を受けた。

車に興味があったわけでもなく、飛行機に興味があったわけでもない。でもモノづくりには携わりたい。そんな私が、富士重工業に興味を持ったきっかけ。それはたまたま合同説明会のブースを見かけた時のことです。説明してくれた方が「どう?このデザインかっこいいでしょう!」と自社の車を自信たっぷりに語っていたんです。その言葉は衝撃的でした。自分がつくったものに対してここまでプライドを持っている人ってすごいな。自分も心から自慢にできるものをつくってみたい。そう思って富士重工業への入社を決意しました。2011年、富士重工業入社。現在所属しているのは、航空宇宙カンパニー 組立生産技術課。艤装(ぎそう)といって、電線や配管などを飛行機の機体に取り付ける生産技術業務を行っています。まず、設計が図面を描く。その図面が生産技術部におりてきて、どうやってこれをつくるかを考えるのが私たちの仕事です。具体的な仕事は大きく2つあります。一つ目は、工程計画を立てること。二つ目がつくるプロセスを補助する道具である「治具」をつくることです。機体をつくる上で、必要な設備と治具。設備とは、建物だったり吸塵器だったり、汎用性があるものを指します。その対照にあるのが治具で、その機体でしか使わない、ロケーターや穿孔板といった道具のことです。その中でも、私は電気関係の担当。たとえば、電線を機体にとりつけた際に、電線を試験する必要があって、アナライザーという測定器を使います。こうした試験装置も治具にあたります。

道具を変える。方法を変える。工程を変える。創意工夫の山がある。

飛行機は自動車のように何千何万といった数の生産を行うわけではありません。製造現場も、ラインで流すのではなく、建設現場のような空間で、一つの機体の完成を目指しチーム一丸となりつくっていきます。自動車と比較して、ルーティンワークが圧倒的に少ないため、現場の作業員の方々が慣れるのにも時間がかかります。そこで、重要になるのが、工程を計画する際に作成する手順書の精度です。正確性といかにわかりやすいかということがとても大事。「どうだ、この手順書わかりやすいだろう!」と言える、かっこいい手順書となるように心がけて書いています。自分が作った手順書が計画通り使われているか、困っていることはないか現場に行って相談を受けたり、工程を支援したりすることも大事な仕事で、現場の作業員の方々とのコミュニケーションはとても重要と考えています。工程通りに進めば問題ないのですが、作業してみて初めて気づくことも多々あるんです。問題があれば吸い上げてすぐに改善。たとえば、先ほどのアナライザーに関することですが、何本もある電線を機体の外の治具から機体に向かって接続するために、作業者が治具と機体の間を行ったり来たりしていたんです。それを楽にできないかという意見があり、電線を機体の組立足場に沿わして、機体の足元から機体側に持ち上げるだけでアクセスできるように工夫しました。また別の日の出来事ですが、アナライザーで試験を行うときに、隣り合ったコネクターが接触してしまうとうまく試験できないから、コネクターにカバーをつけてくれという要望がありました。さらに、電線を接続するとき、機体のコネクターが四方にちらばっていて、電線をどれにつなげたらいいかわからないだろうということも現場支援を通して感じていました。だから、ただ単にカバーを追加するのではなく、色分けをしたカバーをとりつけたんです。これで一目瞭然。コネクター接続に迷うことがなくなりました。現場からは、日々いろんな要望があがってきます。大変ですが、確かに、作業工程が楽で効率的になるほうが、ミスも減るし生産効率も上がる。だから、毎日考えて、毎日改善する。創意工夫に限界はありません。

まるでスポーツ。ルールの中で最高のパフォーマンスを。

ついこの間、アメリカのソルトレイクシティで、航空機をつくる設備と治具の展示会が開催されたので、行かせて頂きました。カメラを使って機体を認識し穴をあけるロボットなど、画期的な最新技術がズラリ。その中で、興味をひかれたものがありました。ハーネスを組み立てる時に、これまでは木板に線を書いて、その線にモノを合わせながらやっていたのですが、それを、プロジェクターで投影してやりましょうという画期的なものでした。現状では十畳くらいのスペースいっぱいにその木板を置いてあるのですが、木板に書かれた情報をデータ化すればそのスペースがまるごと空く。作業場ができる。つまり、人を投入して生産ペースを上げられるというメリットが生まれるのです。帰国してすぐに上司に相談し、今、その準備に取り組んでいるところです。新しい取り組み、とても楽しみです。飛行機づくりには、様々なルールがあります。設計や品質保証などルール作りをする仕事もありますが、この生産技術の仕事は、そのルールの中で、いかにパフォーマンスをあげていくのかを追求していく仕事だと思っています。まるで、スポーツみたいだなと思います。ルールの中で、より良い方法を考える、技を編み出す。この面白さは癖になります。現在の仕事を深めていったその先で、いつか富士重工業が機体まるごとつくる機会が来た時に、そのプロジェクトの一員になりたいと思っています。海外でも働いてみたいですね。実は、富士重工業に入社して、自分自身が変わったなという実感はないんです。むしろその逆。自分の思うことがあれば堂々と言えるし、自分の主張をいろんな方が聞いてくださる。会社に染められるのではなく、一人ひとりの声が大事にされる。モノづくりの力になっている。それが富士重工業の良さなのかもしれません。

午前中は、前日にやり残したことなど、シンプルな業務を行う。昼間は現場へ出かける。現場からは様々な意見が出るので、それらをまとめてデータ化する。夕方以降は新しい治具を考える時間に充てる。

PROFILE 金子 貴幸 KANEKO TAKAYUKI

航空宇宙カンパニー  生産技術部  組立生産技術課

2011年入社。工学部電気電子情報工学専攻卒。学生時代はプラズマを研究。現在は、生産プロセスにおける課題や問題を創意工夫の種として前向きにとらえ、その過程を楽しんでいる。自分がつくった治具が現場で使いやすいという声をもらう時が、何よりも嬉しい瞬間。

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