守るために、攻める。譲れない戦いのなかで。スバル自動車部門 共通部門 高尾 紘基 財務管理部 (2012年入社)

アメリカでの光景が、今も目に焼き付いている。

学生時代、留学していた頃の話です。アメリカ・ニューヨーク州の田舎。生徒も車で通勤するような地域だった。駐車場に止まっていたたくさんの日本車。なんだか嬉しかった。日本の中古車もたくさん取引されていた。日本車がいかに愛されているか実感した。住んでいた場所の近くには日本車の工場もあった。そこではたくさんのアメリカ人の方が働いていた。車をつくって、雇用までつくりだしている。すごいなと思った。逆の光景も見た。ちょうどリーマン・ショックの時だった。瞬く間に景気が冷え込み、車の売れ行きが鈍り、工場の活気がなくなり、街には暗い闇がかかっていったのだ。そうか、自動車メーカーは街の活気もつくっていたのか。その現実はずしりと僕の心に残った。会計を勉強していたこともあり、将来は工場の原価計算をしてみたいなと、ぼんやりと仕事のイメージを持ち始めたのもこの頃です。たくさんのメーカーがある中で、富士重工業に惹かれたのは、やはりその個性でした。オールマイティに展開せずに、他社がもっていない技術を磨き、個性で勝負している。世界中に活躍の舞台があり、一人ひとりの仕事の裁量も大きい。2012年、僕は富士重工業に入社しました。入社後、配属されたのは、財務管理部財務課。任された業務は2つ。為替のヘッジと会社の資金の運用です。

800億円をどう動かすか。プレッシャーとの戦いの中で。

為替は常に変動するもの。為替リスクを軽減することは、グローバルでの売り上げ比率が高い富士重工業としては、とても重要なミッション。世界の動きや様々な経済指標を見ながら、為替の動きを睨み、為替ヘッジ(為替変動により資産価値の変動を回避する取引)を行います。次に、資金の運用について。入金と支払いという月々のお金のサイクルがある中で、預金口座に残るお金がありますよね。預金口座に置かれているだけでは、利息もつかず無駄になってしまうので、資金を運用することで利息を稼ぐわけです。こちらも為替ヘッジと同じく、経済の状況で大きく変わるもの。短期社債などを購入したりするのですが、何をどれだけ買うのかという判断が命。原油価格が下がっているので、石油関係の企業様は影響を受けるので避けておこうとか。この企業は調子が良いので買おうとか。僕は心配性な性格なので、ドキドキしながら日々仕事をしています。もちろん、最初からできたわけではありません。入社1年目から2年目にかけては、OJTの担当の方についてもらって、一部だけ為替の予約をさせてもらったりとか、小さな金額からはじめました。円安にいくと思っていたのに、円高に動いてしまって、損してしまったり。習うより慣れろと、経験しながら勉強させていただきました。しかし、額が額なだけに、いまだにこの緊張感に慣れることはありません。例えば1円変わるだけで数千万円が上下することもありますから。2年目中盤からは、カナダドルとユーロも任せてもらえることになりました。たとえば、カナダでは年間800億円くらいの売り上げがありますから、それをヘッジするわけです。勝ったか負けたかという数字も明確に出てしまう、とてもシビアな仕事です。負けてへこむこともあります。大事にしていることは、「早めに行動」です。早めに動いておけば、打てる手も変わってくるからです。もちろん、いいこともある。1年間7000万円分の利益を積み上げられたこともあります。でも、気持ちが大きくなることはありません。リーマン・ショックの時のように、いつ何があるかわからない。そんな緊張感が常に僕の隣にあるからです。

毎日コツコツ積み重ねる。地道で継続的な努力を大事にしていきたい。

僕たちの仕事は博打ではありません。確かに、変動する相場の中で日々判断が求められる厳しい仕事です。その中で大切にしていることは、判断の根拠をしっかり持つこと。たとえば、一つの国の貨幣を担当するということは、その国の政治や経済や思想等も知らなければいけない。だからといって、知識や情報をコツコツ積み上げて、確実に成果がでるわけでもない。でも、大事な時に大事な判断ができるように、日々様々な経済指標をチェックしたり、世界の動きにアンテナを張り巡らせたりと、地道で継続的な努力が必要なのです。たまに、同期と飲みに行ったりします。仕事の話も聞きます。部品一つをつくるのに、何グラムの鉄でつくるのか考えたり、何銭単位の交渉をしたりしている。僕が預かっているお金は、仲間がこうして努力して勝ちとって積みあげたお金なんだなと感じることができます。無駄にしないように、少しでも利益を稼がなければいけない、しっかり利益を守らなければいけない。そのためには、自分自身がもっと成長しなければいけない。将来的には、会社全体の動きも見てみたい。自動車のプロジェクトのお金も見てみたい。EyeSightのような何年もかけて生み出した商品のお金のことも知ってみたい。普段は為替の動きをみながらドキドキして心配ばかりしている人間ですが、自分の将来に関しては悲観はしていません。やりたいことにチャレンジできるチャンスがこの会社にはたくさんある。それだけは、確かなことだと自信をもっていますから。

8時半出社。為替動向や世界経済状況、会社の資金状況の確認。10時からは、資金運用のスケジュール組立。為替相場の状況を見ながら、為替ヘッジ方針を作成。午後は、データ収集、分析、提出資料作成。業務進捗の確認、部室長への報告会議などを行う。定時前に、当日の実務処理に漏れがないか、翌日以降のスケジュール・運用見通し、経済イベントの確認を行う。

PROFILE 高尾 紘基 TAKAO KOUKI

スバル自動車部門  財務管理部

2012年入社。教養学部 国際ビジネス科出身。入社後は財務部へ配属。将来的には、経営企画部や車種開発など、会社全体の数字を見る仕事にも興味あり。同期との交流も活発な財務部の次世代ホープ。

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