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  • 現場の声【固定翼設計課長】

空港でB777を見つけると、つい主翼の付け根に。

もう25年程前になります。入社3年目、私は希望どおり、シアトルのBoeing社に派遣され、B777の開発プロジェクトに参画。主翼の付け根をカバーして空気抵抗を減らすフェアリングの強度設計に携わりました。

まだ駆け出しでしたが、前方フェアリングの強度設計を一手に任されてしまい必死の思いで勉強しながら数百点の部品一つ一つの強度解析をして計算書を書き上げました。余裕はありませんでしたが、世界中から多数のエンジニアが集まり、何十万・何百万点もの部材・部品を分担して設計。ひとつに集約して旅客機をつくりあげていくビッグプロジェクトのダイナミズムを肌で感じることができてとても得難い体験でした。

飛行機の主翼、尾翼、胴体などの構造は、どれも特徴的で開発するうえでは技術的なチャレンジを必要とします。それだけに、自分が図面を描いて形を決めた部材が航空機に組み込まれ、世界の空を飛ぶ姿を目の当たりにしたときの喜びはひとしおです。今でも飛行場でB777を見つけると、つい主翼の付け根に目がいって、『あのフェアリング、オレが設計したんだぜい』と自慢したくなります(笑)。

その後、次期哨戒機P-1や次期輸送機C-2の主翼、エアバスA380の垂直尾翼の前縁・後縁など、より重要度の高い部材の設計を重ねていくにつれて、「感動が目に見える」構造設計の仕事の喜びが増していってますます楽しく感じています。

軽くて強くて安全で丈夫で長持ちする、相反する全ての要素を満たすために。

飛行機は空を飛びます。実は、この当たり前の事実に、構造設計の難しさと面白さがあるのです。

空を飛ぶには軽いほうがいいのですが、安全第一ですから絶対に壊れない強さが必要です。長距離を飛ばすには多く燃料を積めるほうがいいのですが、そのぶん重くなりますから、機体を軽くしたいわけです。加えて数十年の長期にわたって飛ばし続けるには、丈夫で十分な疲労強度も不可欠です。さらに、安全を確実にするためにフェイルセーフ(※1)やダメージトレランス(※2)といった航空機ならではの配慮を加える。何万本ものリベットの1本でも折れてはいけない。何十万点もの部材が、それぞれ所定の機能を果たす必要がある……相反する要件がいくつも求められるため、「安全は一歩も譲らず、性能、軽さ、強さ使い勝手の良さ等々の相反した要求すべてをバランスよく満たす」というシビアな設計が鍵を握っています。

※1…万一、ある系に故障が生じた際の代替え手段をあらかじめ組み込むなど、機械やシステムなどを必ず安全な方向に導くという基本設計思想

※2…破壊力学に基づいた構造設計手法の一つ。繰り返し荷重がかかる構造物の運用中に検出できない初期欠陥からき裂が発生・進展することを前提として寿命を評価する手法

さらに、計器や装備の配置、電気・通信系統、燃料・油圧・空調の配管など、航空機の中のレイアウトも、構造設計担当が各専門分野のエンジニアと協調しながらレイアウトをアレンジしていきます。すべてのシステムと関わり、主体的に統制して、航空機づくりを取りまとめる重責を担うわけです。もちろん、ただ設計図面を引くのではなく、材料や加工等の技術も探求しながら、試作と試験を繰り返し問題点をつぶしながら、スケジュールやコストにも配慮しながら、航空機という巨大な構造体をつくりあげます。難しくて大変なのは確かですが、逆にそこに航空機ならではの面白さがあります。

スバルブランドの航空機が世界の空を翔る日を目指して。

私たちは、「エンジニア一人ひとりの持ち味を伸ばして活かす組織。全員が個をいきいき発揮し、熱い思いを仕事に100%ぶつけられる組織」を重視しています。

航空宇宙カンパニーは、中島飛行機に発する航空機づくりの伝統、実績、気風を持ち、チャレンジ精神と自由闊達な風土も脈打っています。そのうえで、BoeingやAirbusの旅客機、防衛省向けの固定翼機・ヘリコプター無人機など、さまざまな開発プロジェクトに取り組んでいるから、先行技術の研究、試作・試験、製造といったフェーズを含め、エンジニアが多岐にわたって活躍できる場が揃っているのです。

吸収できる技術は幅広く、誰もがやりたいことを見つけて深堀りしていける環境が整っています。今回のキャリア採用では業界・スキル・経験は特に問いません。何事にも興味を持ち疑問を看過せず技術を究めていく知的好奇心旺盛な方、いま自分が手がけている技術を誰にでもわかりやすく語れる方、何より飛行機が大好きで、自分の手で航空機をつくりたいと望んでいる方のご応募をお待ちしています。

いつか、スバルブランドの飛行機を世界の空に羽ばたかせたい……私たちが求め続けてやまない大きな夢を、ぜひ一緒に追いかけませんか。

※ 役職・記事内容等は、取材当時のものです。

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